おもしろくなければ、つまらない

ヒューマンイノベーションコースというのは、どのようなコースですかと問われたならば、「おもしろいことを学び、おもしろいことができるコースです」とお答えしたい。

もちろん、「何がおもしろいか」は人によって異なるだろうし、さらに、学んでみなければわからないこともある。自分で「おもしろい」と思いこんでいたことが、もっとおもしろいこと、ほんとうにおもしろいことの前で消し飛んでしまうかもしれない。

ともあれ、私たちのコースのカリキュラムを見て、講義題目と担当講師を見ていただきたい。一般常識からいえば、「えっ?それってどういう内容なの?」といぶかる題目もあるかもしれない。それは既存の学問領域、専門領域には「おさまりきれない」テーマだからだが、むしろ好奇心をかき立てられるにちがいない。担当講師陣をみていただくと、それぞれさまざまな領域で「おもしろい研究、おもしろい実践」をしているとして著名な研究者・実践者がそろっている。どの講師も「どんな領域のどんな問題でもよい。その世界でほんとうに”おもしろいこと”というのはどういうことかを見つけ出す」達人たちだ。講義形式も、どれもが「講義と演習」を合体させたようなもので、たんに「聴講」してノートをとっておしまい、というものはない。徹底的な討論と、「現場」に出ての実体験も伴っている。さらに、受講者たちのそれぞれのこれまでの経験をぶつけ合って、それらを意味づけたり、「本当に問うべき問い」をみつけたり、今後の探求や活動への意欲をかき立てられるにちがいない。

これからの世の中、どういう人材が世の中で必要になるかについて、あらかじめ「望ましい人材像」を描いて、それへむけて基礎訓練と研修を積み重ねる、という考え方もあるだろう。しかし、私たちは、どんな世界でも、おもしろいことを見つけ、おもしろいことにのめり込んで熱中できる人材こそが、いま、もっとも必要とされている人材だと確信する。そのような人材を育てるのが本コースの目的なのだ。

どんなことでも、おもしろくなければ、つまらない。

青山学院大学名誉教授 佐伯 胖 (2008年度〜2012年度ヒューマンイノベーションコース担当)