「使いやすさの認知科学」刊行

2003/7/11

私が編集委員をしている認知学の探求シリーズの新刊が出ました。「使いやすさの認知科学」です。目次はここです。この本は確か1998年に「認知科学」誌で法政の原田さんが担当したインタフェース特集をもとにしたものです。


ここで言うべきことは、何よりもまず私と植田さんが書いた「コミュニケーション的インタフェース論」が載っていることです。このページで今までインタフェースについては書いたことがありませんでしたが、私は実は7,8年前からインタフェースの研究を行ってきています。特に課題分割という考え方は、自分で言うのも何ですが、けっこう有名です。この総決算とも言うべきものが(むろん途上ではありますが)、上の論文です。骨子は、

  • コンピュータは道具ではありません、
  • 人と付き合うようにコンピュータと付き合いましょう、
  • つき合いに耐えるだけのソフトを作りましょう、

というものです。

ユーザからは「ひどいソフトだ」、「インタフェースが悪い」、開発者からは「ひどいユーザだ」、「これだけしてやればわかるだろう」などという文句がよく聞こえてきます。しかし、こうした責任のなすりつけあいは何も生み出しません。こうした不毛な関係を清算しましょう。人間も含めた一定以上複雑なシステムは「触ったとたんにわかる」などということはありません。相手を知るには時間がかかるように、コンピュータ(ソフト)を知るにも時間がかかります。ユーザはこれを認識すべきです。また、製作者はこうした時間に見合うだけの一貫した人格を持った製品を作るべきです。こうした主張を実証的実験と組み合わせながら主張しています。ぜひお読み下さい。

他にもかなりいい論文が載っています。いくつかあげれば、Hollanらの分散認知についての論文は、彼らの今までの研究がコンパクトにまとめられていて便利であるとともに、かなりグッとくる主張が随所にあります。また、ATRの 岡田さん も非常にいい論文を書いています。彼の研究はダイナミカル宣言をやる前には何だかよくわからなかったのですが、宣言以降はいつでも気にしていました。これからのインタフェースを考える際の必須の事柄がこれまた満載です。

ということで「買いましょう」。


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