大島さんの大学授業のデザイン実験

2005/1/28

非常勤で本学の大学院で教えている大島純さん(静岡大)が講演を行ってくれた。トピックは大学の授業における学習科学実験についてであった。私も1年生向けの基礎演習や、学部のゼミでblogなどを用いて、なんとか授業改善を行い始めたので、大変に期待していたのだが、実際に勉強になることが満載で、非常に面白かった。


授業のテーマは教職志望の学生に状況認知やCSCLなどの中で生み出されて来た新しい知識観を伝え、それに基づいて授業プランを立てさせるというものであった。こういう文脈では、グループによる知識の共同構築がポイントとなるわけで、これについての様々な実践を紹介し、グループで討議させ、レポートを書かせるというスケジュールで1年目の授業が行われた。しかしながら、1年目はさっぱりで学生の素朴教育学(これエントリーを改めて書こう)を覆すことはできなかった。

大島さんはその問題を「そもそも学生の中に、知識の共同構築という経験自体が存在しない」からであると考え、2年目はjasperプロジェクトを追体験させ、これについての実感、経験を持たせて、授業を行った。その結果、学生同士のインタラクションが活性化され、最終レポートも前年に比べるとずいぶんとレベルの高いものになった。

このように書くとあまり面白くないのだが、いくつか気づいた点をいかに列挙しよう。
・経験の共有
上に述べたように、学生は知識の共同構築なんか普通やったことがない。我々教員は一般に大学院などで仲間たちと常時討論するという経験が多かれ少なかれあるので、共同構築という概念をはじめて聞いても、何となく「あのことかな、このことかな」というような
感じになる。しかし、小学校から高校までの中でそうしたことを探せと言われても確かにない人が多いと思う。こういう場合には、この経験自体を授業のなかで作り出すことが重要になるわけだね。なるほど。

・グループ構成
大島さんたちは、学生の性格を非常に時間をかけて分析し、これに基づいてグループを作るそうだ。事情により、あまり詳しいことは書けないのだが、リーダーとか、その他のキャラクタをうまく組み合わせないと、グループの討論はうまくいかないそうだ。私の基礎演習では、ランダムにグループを決めてしまう。これでは到底うまくいかないわけだね。

・リーダのタイプ
リーダーといってもいわゆる我々が想像する典型的なリーダーだけではなく、多様なタイプのリーダーを認識することが重要とのこと。うちでは勝手に決めさせていた。

・イニシエータ
ボード上で議論をする場合は、イニシエータを決めて、この人に答える形で全員が書くことを求める。これもやってなかったなぁ。だからいまいち議論が盛り上がらなかったんだろうな。

それから質疑応答で、私が「これを見ているとあまりテクノロジーの必然性を感じないのだが」と質問をした。これに対して大島さんは「こういうのを進めていけばいくほどテクノロジーの意義は薄れていくような気がする」と言っていた。見ていると、いわゆるコラボレーションツールが言うように「いつでも、どこでも、相手が不在の時でもいろいろできる」というのは嘘で、面と向かって話し合うことが前提にあった上でテクノロジーが意味を持つような気がして来た。まあ、俺は別にテクノロジーには最小限の興味しかないので、これはこれでかまわないわけだ。

一般に発表と言うと、うまくいった結果だけを報告するもんだから、なんか未消化感というか、「それでうまくいくのは分かったんだけどねぇ」というような感じが残るのだが、大島さんは1年目に行った失敗の授業とそれを改善した2年目の授業を対比してくれたので、重要なポイントがよくわかった。


1件のコメント

  1. 生命エネルギーのブログ♪ より:

    熱中症 8

    私、猛暑対策としてこれまではクーラーをつけて快適に眠れていましたが、昨年だけはクーラーをつけると不快感があり、つけても消しても気分の悪い、それまで経験したこと…