Tomasello講演会

2005/3/27

言語に関する発達心理学、比較認知研究などで大変に高名なMichael Tomaselloの講演会が駒場であったので行ってきた。大変におもしろい講演だった。

彼の話のツボは、子どもはその言語の獲得の初期には、チョムスキーの言うような統語カテゴリーを処理しているわけじゃないよ、というものだ。そして構文の島?(constructional island)という仮説を提案している。これは


・子どもはよく使われる言い方でしか話さない、
・統語論的カテゴリーを用いた構文の拡張はミニマルにしか見られない
というものだ。
たとえば、受け身で動詞を覚えると、受け身でしかつかわない、心的な動詞はそこにつく主語に著しい偏りが存在する、また感覚動詞(seeなど)はほとんど命令形でしか使わない、等々。

転移やアナロジーをやってきたわたしからすればさもありなんということなのだが、この結果はチョムスキアンにとってはとても「いたたたーーー」という話じゃないだろうか。

でも、「じゃあどうして大人みたいになるんだ」と言われると、そこからはけっこう苦しいかもしれない。また、子どもを例に完全に依存した言語使用者としてとらえてしまうと、多くの発達理論が抱えたtransitionのメカニズムの特定不能という問題に直面するだろう。

ここらへんにmicrodevelopmentの考え方を導入するわけにはいかないのだろうか。だれかやらないかな。


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