visuospatial reasoning

2006/7/15

今年は大学院のゼミで,The Cambridge Handbook of Thinking and Reasoningを読んでいる.まあ,ハンドブックなので,そんなにものすごいことが書いてあるわけではないのだが,あまり体系的に勉強をしていない身にとっては,いろいろと参考になることがある.また今度とある教科書のようなものを書かねばならないということもあり,重宝している.ところで,今日はこのエントリーのタイトルにあるようなチャプターを読んでみた.


はじめはメンタルローテーション何か出てきて,なあぁんだそんなこと書くのかぁ,などと思ったのだが,いろいろと面白かった.視覚−知覚の相同性を超えて,イメージは身体的,運動的成分を含んでいることを近年の研究をレビューしながら述べている.また,いくつか出てきたのだが,身体的認知といわゆる認知とのdissociationについても興味深い論文が出ていた.これらは,去年までHow the body shapes the mind(これがなぜか今amazonで探せない)という本を読んでいた我々からすると,まさにという感じだった.他にも空間認知のゆがみや,創造的な活動における図の役割(ここには諏訪さんとの論文がいくつも出ていた)などもあり,ずいぶんと整理してわかることが出来た.

自分で思うのだが,オレは認知の中でもいろいろ分野の好き嫌いが激しく,言語,空間これらについてはほとんど手を触れたことがなかった.空間については理由は明白で,不得手だからだ.推論は一般に苦手だが,空間推論は特にだめだ.しかし,こういう面白いものを読んだからには,いろいろと調べたり,考えたりしたいことがいくつも出てきた.身体との関わりで空間を考えれば,とても面白い研究ができそうな気もしてきた.何年か前にジェスチャーの研究をやっていた院生の仕事や,テープを用いた問題解決をやっていた卒論生の仕事などを思い出した.

それからもう一つ思ったのは,身体とか,そういうのを言うと,すぐギブソニアンとか,状況論とか,現象学とか,そういう過激な(?)理論的立場を取らないとまずいような気がするが,必ずしもそうではないということだ(ああ,別にこれらの立場が行けないとか,そういう意味ではありませんので).このチャプターで取り上げられた面白い研究をやっている人はそういう理論的立場に立ってやっているのかどうかはわからないのだが,単純に実験の結果を見て面白いと感じる.そういう研究も十分にできるというか,既にいくつもやれてきているということですよね.

そうそうこのチャプターの著者はBarbra Tverskyでした.


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