今月のCATKAT

2006/12/19

今月のCatkatは東大&博報堂の鷲田さんの研究発表があった。マーケッティングとマルチエージェントシミュレーションを組み合わせるという、catkatではほとんど聞けない、大変におもしろい話を聞かせてもらった。

彼の考えの根本はdemand side innovationのモデル化だ。これは何かというと、供給側の工夫や改善によるイノベーションではなく、需要者側が製品の持つ特定の機能を供給側の意図しない形で評価し、それが口コミなどを通して業界のスタンダードとして定着するというような現象を指す。たとえば携帯の着メロなどはその典型ということだそうだ。


彼がそこで特に焦点を当てたのが、価値転換という現象である。そもそも主流ではなかった商品(あるいは機能)がデマンドサイドにおける選択、口コミを経て、主流になってしまう、スタンダードになってしまう、そういう現象が価値転換ということ。

鷲田さんによるとこういう現象は日本では起こりやすいのだが、アメリカではなかなか起きなくて、あちらでは先行逃げ切りというようなことが多いらしい。こうした違いが何に基づくのかということを日米比較を通して明らかにされていた。こちらに詳しい解説があるので、リンクしておきます。

こと技術に関していえば、その技術関連のことに詳しい人でかつ好奇心にあふれる人がいて、そうした人がまず新しい商品を手に取る。その人たちのコミュニティーの中でその商品の噂が広まる。ここで終わるとマニア向けの商品市場というのが生まれる。何が評価される機能となるのかは、メーカの意図通りにならないわけで、このマニアたちの中の評判というのがまず問題となるわけですね。もう1つの問題は、噂の広がり方で、ここらへんはマニアたちの人間関係、ソーシャルネットワークが関連するわけですね。このソーシャルネットワークが日米ではずいぶんと異なっており、それが価値転換の起きやすさを規定しているのではないかというのが、鷲田さんの考えなわけです。ぜひうまく研究を進めてもらい、その結果をもう一度聞いてみたい。

意図せざる技術革新というのはなんともダイナミカルな話でわくわくしながら聞いていたのだが、こういう考え方は協調学習などにもつながるわけで、彼の話の後半はそうしたことをつらつら考えていた。

2番目は自分、あるいは他者のパフォーマンスの観察が学習にどんな影響を与えるかという話だった。おもしろいのは、自分のパフォーマンスを見て学習すると成績が下がるという結果だ。その理由を、ものすごく簡単に要約すると、自分はうまくいかなかったので出来なかったというネガティブな態度がその後のパフォーマンスを劣化させてしまうということになる。だから自分のパフォーマンスを他人のものですといってみせられた場合は、成績劣化は起きない。

その後、清泉女子大の中で簡単な忘年会のあと、五反田の行きつけの店で本格的忘年会。例のごとく飲み、そのあとさらにのみ(これも例のごとく)、という具合で、いつも通り・・・・。そういえば、茂木さんに会った。


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