ラムズフェルドの戦争

2007/1/9

ラムズフェルド国防長官といえば、ブッシュ政権を支えるネオコンの親玉として有名だろう。イラクに対する侵略を提言しまとめたのは、この人を中心とするブッシュの取り巻きだというのが一般の理解だと思う。

で、こうした動きというのは当然制服組の意向を代弁したものだとばかり思っていた。ところが、先日NHK-BSで再放送された「ラムズフェルドの戦争」という番組を見て、実際は全く異なることが起きていたということが分かった。


実は制服組はラムズフェルドのイラク侵攻案に対して強烈に反対し、トップが数人辞職に追い込まれるほどだったのだ。戦争に反対する軍人というのはなかなかおもしろいというか、オレの想像とはずいぶんと異なる姿だ。どうも軍人というと、日中戦争などで無法と無謀を繰り返した日本の軍人たちを思い出すせいか、戦争で戦果を上げることにより自分の地位を高め、かつ自らの組織の拡大を目指すというイメージがどうしてもぬぐえない。しかし、そうとばかりも言えないということなのだ(むろん日本の軍人だって、みんなが満州事変の石原莞爾であったり、軍令無視の南京大虐殺首謀者であったりしたわけではないわけだけど)。

その番組によると軍は味方の被害を最小限にしたいということ、また戦後の治安の確保のために50万人の派兵を主張したという。一方、ラムズフェルド案はハイテク兵器を多用し、5万人でイラクを制圧するという戦略だった。結果は明確で、軍の予測が正しかったと言うことだ。確かに制圧は出来たが、その後に数千人規模のアメリカ兵が戦死(?)するという事態を招いている。

もっともこうしたことから軍は正義でラムズフェルドが悪というような見方をするのは単純すぎるだろう。軍の方だって、50万人の派兵というとてつもない計画で、自らの組織の拡大を目指したのかも知れないわけだしね。ただ軍の方はベトナムから大事なことを学んでいたという。ベトナム戦争により、軍の社会的地位が低下し、また兵の士気も著しく低下した。こうした難局を20年かけて切り抜けてきたという経緯が軍の方にはあり、イラクの件でまた同じような苦境に陥ることは避けたかったと言うことらしい。

さらにおもしろいのは、ベトナム戦争当時国防長官だったラムズフェルドは大統領にベトナム撤退を進言したという。これまた事態は複雑ですね。


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