注意と知覚研究会at 金沢

2008/3/13

3月9日から11日まで,注意と知覚研究会が金沢の駅前のホテルで開催されたので参加してきた.この研究会は日本心理学会の分科会という位置づけになっており,東大の横澤さんが主査をしている.基本的には高次知覚分野の若手の発表が中心となる.

知り合いはこの分野にはほとんどいないのだが,斎木君,喜多君,高橋君などに会えた.皆さん一様に「なんでいるの?」という反応だっだけど.なぜ行ったかといえば,理由は簡単で,問題解決の研究を知覚や運動という観点からとらえ直してみたいという思いがあるからだ.問題解決者は様々な行為を行い,そこから得られる情報をまた知覚して,評価して,また行為を行う.いわゆるNeisserの三角形は問題解決においても十分に成り立つわけだ.しかしこうした観点,ダイナミックなサイクル,ループとして問題解決をとらえる試みはまだ十分とはいえない.

こうしたわけで知覚研究に接近せねばならないのだが,そんな研究はほとんどやったことがないのでよくわからない.またこの分野は厳密科学の色彩が非常に強く,オレのやってきたような話とはずいぶんと異なる.またこの分野の発展は,計測機器の進歩,脳科学との共同により,急激である.よって,突然その種の論文を読んでもよくわからないことも多い.

こういう場合はとにかく口頭の発表を聞くというのが一番簡単だ.わからないところは聞けばいいわけだし,研究のモチベーションをわかりやすく語ってくれる.というわけで行きました.発表20分質疑10分としっかりと話を聞けること,またレベルの高い発表があったことでかなり満足度が高い.また金沢に行く前にかなりハードな飲み方をしたこともあり,ホテルと駅の間(数分)を往復しただけで,金沢の町は全く見ることがなかった.夜もどこにも出かけず12時には寝ていたのだが,高橋君には「昨日は片町ですか」などという当然の質問があった.

気になったことを以下列挙.

  • 注意の瞬き(attentional blink): はじめの刺激から300msに刺激を提示すると後の刺激が認知されにくくなる
  • 注意の捕捉:あることに注意が向けられるメカニズム(トップダウンvs.ボトムアップ)
  • 注意資源の半球間独立と相互作用:注意資源は左右半球である程度まで独立に存在する
  • 注意対象と同じ知覚属性を持つ対象は認知されやすい(inattentional blindnessでも検知されやすくなる).
  • 注意は注意を向けた対象への処理を増進するのではなく,向けていない対象への処理を抑制する.
  • 興味の強さと眼球運動:関心の強いものについては最初の数秒の間に好きなもの(結果として選択するもの)をより長く見る傾向がある.そこから逆を見て最後は選んだものの方をよく見る.
  • 反転めがね:運動を開始するまでの時間と,運動自体の時間が乖離する.
  • Peripersonal space:手の届く範囲では身体の下方の刺激に対する反応が,またそれ以上遠くの場合には上方の刺激に対する反応が迅速になされる.
  • ideomotor:目的に応じて運動が開始される.手の動きにより曖昧な運動の方向知覚が影響されるか.手の動きが運動の方向とマッチしないと仮現運動が知覚されにくくなる.
  • 反応履歴による時間作成課題のパフォーマンスの変化:競合した反応の場合には長い時間が作成された.
  • 感情ストループ課題
  • 刺激画像(顔)視線の方向に物体が存在すると知覚が促進される.矢印ではその効果は減少する.
  • 無意識の同調:速い人の動きを見せると反応が早くなる.人でない場合はその効果はない.
  • 商品の写真はなぜ真は斜め前からとるか:斜め前からの写真はずらしたときにそのずれを検知しにくい(つまり多くの側面からの情報を提供する)
  • 視覚探索で「ない」と判断するときの時間はベイズに完全に従った形になる(事前確率と尤度を考慮する)
  • RSVP(200ms程度)では内容語のみに注意を払い,そこから文脈の形成が起こるようだ(助詞,助動詞を&に置き換えてもほとんど気づかない).
  • カテゴリカル知覚:カテゴリー境界をまたぐ事例はそうでないものの弁別より容易.言語化を抑制するとこの効果が減少する.

などなど.


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