協調でうまくいくと言う時のための説得例

2008/10/16

教育,学習の分野では,協調学習というのがキーワードだ.つまり教え込むのではなく,学習者同士がディスカッションをしたりしながら学ばせようという話だ.

人と人のインタラクションの研究というのは,正直あまり興味が持てない.くだらないからとか,そういうのではなく,好きじゃないという嗜好の問題だ.

ただ大学教育に関係する仕事をしているので,協調学習を無視するわけにも行かず,何年も前からとある授業でこれを頻繁に取り入れている.その中の1つに,あるレポートを書かせ,それをグループの全員に渡し,相互にコメントしあうという活動がある.そしてそのコメントを元にもう1度レポートを書き直す.これで成績が伸びるだろうということが問題になる.しかしここで疑問が生じる.物事をよくわからないもの同士が,コメントしたり,ディスカッションをしたりしても,逆に有害なケースもあるのではないかということだ.

実際やってみると,2度目は1度目よりもよいレポートになる.学生同士のコメントを詳しく分析すると,なかなかよいことが書いてある.だいたい全体のコメントの3/4くらいはかなり的確なコメントになっている.本当にひどいコメントというのはほとんどない.

こういうのは何となく不思議な気になるが,考えてみればけっこう当たり前ではないかと思った.学問を例にとる.どういう分野の研究(実証学問ね)でも100年前と現在を比べれば,遙かに進歩しているはずだ.科学をやっているものならば,今の知識の状態のまま,100年前にスリップできれば,と思ったことが1度はあるはずだ.こうしてみると,100年前の学者たちは,タイムスリップした我々から見れば愚かというか,レベルが低いことになる.ところが,よく考えてみると,そうした人たちが切磋琢磨をした結果,100年後の私たちがいるわけである.つまりレベルの劣る人間同士のインタラクションにより,重要な新しいことが生み出されてきているということになるわけだ.

こう考えてみれば協調学習により成績が伸びるというのは,ある意味当たり前になるのではないかと思った次第.

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