mediaは恐怖をあおるのか

2009/4/11

つい数ヶ月前に猛烈な円安が始まり,一時は90円を切るほどになった.しかし最近はもうちょいで100円ということになっている.さて円安が始まったときメディアはどのような報道をしたのだろうか.多くの輸出産業のトップにインタビューをして,「もうだめ」,「限界を超えている」など,人を強い不安に落として入れる報道をもっぱらしていた.韓国旅行が増えたなどの記事も確かにあったが,それは例外でだろう.

それではこんどは円高が止まったときは何を報道しているかと言えば,ほとんど何もしていないのではないだろうか.持ち直したとか,危機を脱したなど,人を安心させる報道は何もない.

同じようなことはガソリンの値段に関しても言える.上がって生活を苦しめるときにはみんなの悲鳴を報道する.一方,値段が下がったり,円高でさらに得するときには,何もではないだろうが,前者の時のようには報道しない.

こうやって人を不安な状態に陥れるのはなぜなのだろうか.単純に考えれば,その方が売れるからなのだろう.もう少し言えば,人は警戒すべき情報に対してより敏感である,あるいはそれを重要視するということなのだろう.人は,幸福になる情報よりも,不幸になる情報の方が価値が高いと判断することなのかもしれない.これはTversky & Kahnemanのプロスペクト理論にもう少し何かを付け加えると説明がつくことかもしれない.そうした意味においては,メディアの情報選択,情報操作は誠に理論に合致したものと言えるのかもしれない.

しかし,こういう姿勢は,扇情的であり,危険である.こういう不安定な心理状態に置かれた人は,情報の確実性に留意しなくなり,流言,デマ,政治的宣伝にきわめて反応しやすい状態になってしまう.以上のことから,メディアは市民を危険な状態に意図せずして陥れる,恐ろしい側面を持っていることがわかるのではないだろうか.


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