弁護士を市長にするのはやめよう、というのはどうですか

2012/6/5

大阪で,何やらいうことを聞かない子ども相手に市の職員が刺青をちらつかせ,脅かしたとかいう投書があったそうだ.こうした投書に基づき,橋下大阪市長が,市の職員全員に刺青の生むに関する調査を行い,刺青をしている職員は市役所を辞めるべきであるとの発言を行っている.またこの調査に基づき,配置転換などをおこなっているようである.

私の感覚ではこれは信じ難い.自分の体をどういじろうと基本的に勝手な話だろう.豊胸手術を受けたらどうなるのかなどいろいろと疑問がわく.こうしたことに対して,市職員にあるまじきか否かは,選挙で選ばれたにせよ,口出しすべきではないことなのではと思う.

まあこれに関しては異論もあるだろう.ただ許し難いのは,ここで行われる過剰一般化だ.投書に関していえば,それが事実であるならば,それなりの処分をその人に対してすればいいことだ.刺青をしている人、全体を処分するというのはあり得ない.

どうも極端な例を持ち出し,そこからの過剰一般化を行う.これは愚かな人に共通したことであるが,市長などになるとたちが悪い.この極端例がたまたま持っていた性質を持っている職員をクビにする,採用しないなどの、人権に対する重大な侵害を行ってしまう.

「弁護士資格を持った人間を市長にすると人権無視が多発するので,これからは立候補禁止にせよ」

こういう発言と同じレベルだと思います.


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虐待は負の連鎖なのですか

2012/6/5

日本心理学会の公開シンポジウムで、以下のようなものが行われる.


負の連鎖を断ち切ることはできるか――児童虐待からの再生――
http://www.psych.or.jp/event/index.html#20120624_1
・東京会場:6月24日(日) 14:00―17:00
・京都会場:11月18日(日) 14:00―17:00

虐待とそれによる影響,そしてその克服、基本はそういう話であると思う。また企画者のお二人,仁平先生,内田先生は心理学、教育界に大きな影響を与える立派な仕事をしてきた方たちだ.

しかしこのタイトルは強い違和感を覚える.特に「連鎖」という言葉だ.これはまるで虐待に連鎖がある,因果関係があるということを人々に容易に推論させる.こうした分野の研究はよく知らないが,本当にそういう関係があるのだろうか.巨大なサンプルをとって,χ2乗検定などを行えば有意差は出るのだろう.でもそれが因果であることを本当に立証するような研究があるのだろうか.こういう科学レベルの疑問がすぐに沸き上がる.

科学の世界だけならば学会で議論していけばいいわけだが,こういうタイトルは社会的インパクトも大きい.虐待を受けた経験のある人たちが不当に差別される,あるいは自己嫌悪的感情を喚起させる、というような事態は生じないだろうか.

またこのシンポジウムでは脳科学も登場する.虐待は脳に深刻なダメージを与えるとのことだ.当然そうだと思う.しかし,これが「神経神話」のようなものと結びつくと,回復不可能なダメージというものを連想させる.シンポジウムでは、回復不可能ではないということを主張したいのだろうが,上記ページにたくさん出てくる「回復する場合もある」などの表現は、企画者たちの意図とは全く別のメッセージを伝えるのではないだろうか.


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